晴海フラッグが「坪単価1,000万円」を超える日

SNSの投稿を見ていたら、湾岸部のタワマンの坪単価の推移をウォッチしているマンションマニアの方の投稿を見つけました。

私が今住んでいる建物の価格は、2019年に購入した当時は坪300万円以下でした。この表を見ると、それが坪830万円と約3倍になっています。

もちろん、階数やビュー、広さなどによって単価は変わってきますから、単純にこの価格を鵜呑みにするわけにはいきません。

とはいえ、湾岸のタワマンの価格が全体に大きく上昇していることは事実です。

smartboy10/iStock

今や1億円ではファミリーで住めるタワマンは買えなくなりました。それなりの広さのマンションを買うには2億円近くが必要です。

このような価格上昇の背景として、割安感から流入してきた海外の投資資金が挙げられていますが、それだけではなく国内要因も存在します。

2024年度の首都圏の新築マンション供給戸数は前年度比で17%減って2万2239戸になったそうです。

土地の価格の上昇とインバウンド需要の高まりによるホテルとの獲得競争により、採算の合う用地の取得が難しくなってきています。

また、建設費の高騰によって建築単価が上昇し、都心部では購入者のターゲット価格にあった物件供給ができなくなりつつあります。

この傾向はあまり変わる可能性はなく、引き続き売り手であるデベロッパーは新築物件を売り急がない強気のセールスを続けそうです。

供給数が少なくなることで都心の物件の希少性が高まり、価格の高止まりが続く構造です。

そして、日本でも本格化してきたインフレが、不動産物件の先高感を強め、価格上昇に拍車をかけることになります。

株式相場も不安定化しており、預金は実質価値が下落していく中で、お金を借りて不動産を保有することが資産防衛策として合理的な方法と思われるようになってきているのです。

湾岸のタワーマンションはかなり価格上昇が進み、円高によって海外からの資金に変化があるかもしれません。しかし上記のような背景を考えれば、大きく下がる気配はなく、さらに価格上昇する可能性も充分考えられます。

賃貸利回りから見れば割高な価格ですが、家賃が上がり始めれば割高感は薄れます。

晴海フラッグの坪単価が1,000万円を超える日が、もしかしたらもうそこまで迫っているのかもしれません。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年4月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。