米国の対中相互関税24%分執行90日猶予は、何時から起算しての話か?

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米国が対中相互関税の24%分の執行を90日猶予するというのは、何時から起算しての話か?

日本メディアによると(米国メディアも?)、ジュネーブでディールのあった5月12日から起算するかのように見えるが、そうじゃなくて4月9日を起算点とする元々の”7月9日までの延期”なんじゃないの?

米中合意を実施する12日付けの大統領令は相互関税を定めた4月2日の大統領令を改正する形式を採っていて、そこには”suspending 24 percentage points of that rate for an initial period of 90 days,”とある。

MODIFYING RECIPROCAL TARIFF RATES TO REFLECT DISCUSSIONS WITH THE PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA Executive Orders May 12, 2025 (Sec2.参照)

MODIFYING RECIPROCAL TARIFF RATES TO REFLECT DISCUSSIONS WITH THE PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA

initial period of 90 days”という書き方は恐らく相互関税の90日延期を定めた4月9日付けの大統領令が “until ….July 9, 2025” の “a period of 90 days” を謳ったことを意識しているんだろう。

MODIFYING RECIPROCAL TARIFF RATES TO REFLECT TRADING PARTNER RETALIATION AND ALIGNMENT Executive Orders April 9, 2025 (Sec1.末尾参照)

MODIFYING RECIPROCAL TARIFF RATES TO REFLECT TRADING PARTNER RETALIATION AND ALIGNMENT

ちなみに、中国の発表文は以下のとおり

中美日内瓦经贸会谈联合声明
美国将(一)修改2025年4月2日第14257号行政令中规定的对中国商品(包括香港特别行政区和澳门特别行政区商品)加征的从价关税,其中,24%的关税在初始的90天内暂停实施,同时保留按该行政令的规定对这些商品加征剩余10%的关税;(二)取消根据2025年4月8日第14259号行政令和2025年4月9日第14266号行政令对这些商品的加征关税。

中美日内瓦经贸会谈联合声明

整理すると、

  • フェンタニル原料流入を理由とする20%の制裁関税(不変)

 

  • 4月2日発表の世界一律の10%関税(不変)

 

の合計で30%

  • 7月9日まで猶予される24%分の相互関税

という建付けだと思う。

「これから90日」じゃなくて、次のヤマ場まであと2ヶ月なんじゃね?


編集部より:この記事は現代中国研究家の津上俊哉氏のnote 2025年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は津上俊哉氏のnoteをご覧ください。